食品・飲料タンク用レーダーレベル伝送器:衛生面からの選定ガイド
レーダーによるレベル測定は、食品・飲料タンク内で製品に接触する機器を減らせます。ただし、非接触式という測定原理だけで機器の衛生性が保証されるわけではありません。アンテナ面、プロセスシール、接続部、その周囲のノズルは、製品と洗浄サイクルに耐える必要があります。設置構成全体を選定したうえで、充填中、撹拌中、洗浄後の復帰時に測定性能を検証してください。
製品と洗浄サイクルを確認する
牛乳のバランスタンク、シロップ槽、食用油タンクでは、測定条件が異なります。牛乳や飲料は戻り流れで発泡することがあり、粘性のある原料はアンテナに付着し、油は液面からの反射エコーが弱くなる場合があります。業種名だけで選ばず、実際の製品、濃度、温度、洗浄薬品を記録してください。
CIP は定置洗浄、SIP は定置滅菌を意味します。通常の貯蔵温度に耐える伝送器でも、洗浄時の最高温度、その持続時間、繰り返しの温度変化には耐えられない場合があります。液体本体の温度だけでなく、プロセス接続部の温度と圧力も確認してください。
| 要件 | 提供する情報 | 確認事項 |
|---|---|---|
| 製品との接触 | 製品、洗浄剤、濃度、温度 | アンテナの隔壁、シール、接続部の適合性 |
| 洗浄サイクル | CIP/SIP の温度、持続時間、圧力、実施頻度 | 発注する組立品全体の定格 |
| 衛生的な構造 | 接続図面、排液性、洗浄が行き届く範囲 | 接合部に洗浄できない凹部や製品の滞留がないこと |
| ドキュメント | 現場に適用される規格と仕向け市場 | 対象構成に対応した材料宣言書と機器証明書 |
| 外部洗浄 | 水圧、温度、薬品 | これらの条件下での筐体およびケーブル引込部の保護 |

衛生面での材料適合性と認証は別々に確認する
ステンレス鋼、PTFE、PFA は構成材料の選択肢であり、あらゆる用途での承認を意味しません。外から見えないシールも含め、接液部材質の全リストを確認してください。適切なアンテナ材質を選んでも、適合しないガスケットや洗浄できないアダプターの問題は補えません。
必要に応じて表面仕上げを指定し、その測定方法と検査位置も明示してください。金属の表面粗さの上限を、すべての樹脂表面にそのまま適用することはできません。食品接触に関する宣言も、材料と想定する使用条件によって異なります。FDA 関連の材料宣言は、完成した機器の承認ではありません。
プロジェクトで EHEDG または 3-A の裏付け資料が必要な場合は、有効な証明書または認可書を入手し、対象モデル、接続方式、シールの選択仕様を確認してください。EHEDG 認証では洗浄用途と無菌用途が区別され、認証対象のエラストマーの組み合わせも重要です。クランプ接続だけでは適合性を証明できません。
泡と原料:静かなタンクだけでなく、反射エコーを検証する
泡は、その構造と含水率によってレーダー信号を反射、減衰、透過させます。26 GHz から 80 GHz に変更しても、測定対象が泡面からその下の液面に変わるとは限りません。制御ループで測定すべき面を明確にし、発泡が最も激しい運転条件で、測定値を独立した基準値と比較してください。
使用条件に適合し、洗浄可能なプローブを設置できる場合は、ガイド波レーダーも選択肢になります。ただし、付着、ブリッジ形成、泡の影響を受けないわけではありません。バイパスチャンバーや静穏化設備では、液体が適切に入れ替わり、洗浄可能な状態を保つ必要があります。サニタリープロセス内に液体が滞留する部分を作ってはいけません。
油、シロップ、その他の原料については、必要な測定範囲全体でエコーの余裕度を確認してください。静的な誘電率表を、マイクロ波測定性能の保証仕様として扱わないでください。温度、配合、アンテナ設計、設置条件はいずれも結果に影響します。

設置形状と使用可能なレベル範囲
最低液位、通常液位、最高液位でビームの広がりを図示してください。ビーム角が一定なら、照射範囲はアンテナから液面までの距離とともに広がるため、通常は低液位時に最大になります。主な測定領域には、流入液、撹拌機、バッフル、スプレー装置、槽壁の取付物が入らないようにしてください。
不感帯は通常、高液位側のアンテナ近傍で測定を制限します。底部エコーと低液位での測定性能は別途確認が必要です。公称最大測定距離や、宣伝されている不感帯の小ささだけでは、槽全体を測定できることは証明できません。
撹拌によって渦、波、液面の傾斜が生じる場合があります。代表的な液位を捉えられる測定位置を選び、実際の液位上昇への応答を遅らせずに安定した制御ができるようフィルターを設定してください。壁からの取付距離を一律に決めるのではなく、運転範囲の上下両端で検証してください。
試運転とメンテナンス
| テスト | 保管すべき証拠資料 |
|---|---|
| 空槽時および低液位での点検 | 基準高さ、底部エコー、測定可能な最低液位 |
| 充填と戻り流れ | 流入中の測定値の推移とエコー品質 |
| 撹拌機の運転 | 回転速度や配合条件が変わっても安定して追従すること |
| 洗浄と運転再開 | シールの状態、製品の滞留がないこと、結露後の測定復帰 |
| 制御系のチェック | スケーリング、警報の動作方向、故障表示、実際の応答 |
初期のエコーカーブと設定のバックアップを保存してください。実際の付着状況、衛生管理手順、運転リスクに基づいて洗浄・点検間隔を設定します。パージや加熱にはプロセス面と衛生面での承認が必要であり、レンズへの付着に対する万能な対策ではありません。
お問い合わせの際は、槽の図面、原料リスト、洗浄条件、使用する液位範囲、必要書類をお送りください。これらの情報を基に、METRAVON は食品用タンクすべてに同じ構成が必要と決めつけることなく、アンテナ、接続部、システムへの組込み要件を検討できます。
よくある質問
非接触レーダーは自動的に食品グレードになりますか?
いいえ。製品に面する組立部、接続部、シール、洗浄設備が、想定する食品接触要件と衛生要件を満たす必要があります。発注構成に対応する資料を確認してください。
レーダーは飲料タンク内の泡を通して測定できますか?
測定できる場合もあります。泡の構造と含水率は反射エコーに影響するため、実際に戻り流れや撹拌が生じる条件で、選定した機器を試験してください。必要な測定対象が液位なのか、泡の高さなのかを決めておく必要があります。
クランプ接続は衛生認証を証明しますか?
いいえ。認証は、接続形状のみに適用されるのではなく、定義された機器構成とその使用条件に適用されます。
レーダーの不感帯はどこにありますか?
通常は高液位側のアンテナ近傍です。底部付近での測定上の制約は、この近距離側の制約とは別に評価する必要があります。
SIP 中も伝送器を取り付けたままにできますか?
プロセス側の組立部全体が、指定された蒸気温度、圧力、持続時間、繰り返しサイクルに対応する定格を満たし、メーカーの指示どおりに設置されている場合に限ります。
食品用タンクの受入試験には何を含めるべきですか?
低液位と高液位、充填、撹拌、泡、洗浄後の測定復帰、システムのスケーリング、故障時の応答を確認してください。試験前に基準測定方法と合否判定限界を記録します。
技術参考資料
関連用途
医薬品製造のレベル測定:GMP・洗浄性・バリデーション | 化学薬品タンク用レーダーレベル伝送器:材質、誘電特性、選定上の落とし穴 | 高温レベル測定:150 °C~450 °Cで使える方式
