著者:Arvin 出典:METRAVON Instruments
FMCWレーダーの原理
FMCWレーダーは、送信周波数を時間とともに連続的に変化させ、送信信号と反射信号の周波数差から距離を求めます。距離分解能に優れ、液体タンクや粉粒体サイロの連続レベル測定に使用されます。
周波数帯や掃引帯域は機種ごとに異なります。『FMCW』という方式名だけで性能を判断せず、アンテナ、ビーム角、測定レンジ、温度・圧力定格、媒体条件を確認します。
FMCW方式の利点
狭いビームと高い距離分解能により、近接する反射を分離しやすく、内部構造物が多い容器でも有利です。高速な信号処理により、エコーカーブ、信号強度、誤エコー情報を診断に利用できます。
ただし、信号処理だけで設置不良を補うことはできません。長いノズル、アンテナ付着、投入流、低誘電率媒体などの条件は、機械設計と選定段階で対策します。
周波数とアンテナの選定
80 GHz帯はビームが細く、小型タンク、狭い空間、内部構造物を避けたい用途で有効です。26 GHz帯は多くの一般用途で実績があります。高い周波数が常に優れるわけではなく、結露、付着、媒体特性との組み合わせで判断します。
レンズ、ホーン、フラット型などのアンテナは、取付寸法、耐付着性、材質が異なります。プロセス温度、圧力、腐食性、洗浄方法に適合する構造を選びます。
液体と粉粒体
液体では、泡、蒸気、乱流、低誘電率、攪拌機を評価します。粉粒体では、粉じん、安息角、投入位置、表面形状、かさ密度の変化を確認します。測定点は不規則な表面の一部ではなく、在庫状態を代表する位置にします。
サイロでは、充填中の信号余裕が重要です。静止時のテストだけでなく、粉じんが最も多い運転状態でエコーを確認します。
設置上の注意
アンテナは投入流、梯子、配管、補強材から離し、測定範囲全体でビームが自由に通るようにします。ノズル径と長さはアンテナ仕様に合わせ、内部の溶接突起を避けます。
ビーム角から最低レベルでのビーム径を算出します。方向調整が必要な場合は、固定後に角度が変わらないブラケットを使用します。結露が多い場合は、水滴がたまりにくい向きやエアパージを検討します。
配線と試運転
4–20 mA/HARTまたはRS485/Modbus RTUを用途に合わせて選びます。電源余裕、負荷、シールド、接地、終端、アドレスを確認し、動力線との分離を行います。
試運転では空距離、レンジ、単位、出力、異常時動作を設定し、複数レベルで基準測定と比較します。エコーカーブと設定を保存し、固定エコーのマッピングは慎重に実施します。
偽エコーと診断
指示値の跳ねや固定は、ノズル反射、障害物、投入流、アンテナ付着が原因になり得ます。最初にエコーカーブで主エコーと妨害エコーを確認し、機械的な改善を優先します。
フィルタを強くすると表示は滑らかになりますが、実際の急変への応答も遅れます。制御や上限警報で必要な応答時間を維持しながら、最小限の設定変更を行います。
選定チェックリスト
媒体、比誘電率、レンジ、温度、圧力、泡、蒸気、粉じん、付着、容器図、ノズル、内部構造、防爆、信号方式を一つの仕様書にまとめます。供給者にはアンテナ、材質、接続、認証、初期設定を明記させます。
採用後は、設置図、パラメータ、エコーカーブ、受入結果を保存します。これらの記録が、将来のプロセス変更や機器交換時に最も有効な診断資料になります。
